販売者(銀行、証券会社)の説明義務違反
3 離脱するための説明義務違反
(1)通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)の拘束期間
通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)という詐欺商品通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)は、3年、5年、7年、時には10年と、長く契約に拘束されます。
損害が出た場合、あるいは出そうな場合、FX取引や商品先物取引であれば、市場があるのでそこで売るか、リスクヘッジすればよいのですが、通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)にはそれがありません。
また、そもそも商品先物等は、おおむね半年間程度で設計された商品であり、通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)のように何年も拘束されるという事がありません。
したがって、通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)は、FX取引や商品先物取引と比べ、はるかに危険な商品といえます。しかも、元本を失うだけではなく、損失は無限に拡大するものであり、その危険度は比べ物にならないのです。
(2)通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)の解約
通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)で、購入者が唯一離脱できるのは、解約という手段です。
ところが、銀行は、解約には解約損害金というペナルティがつくと言います。となれば、解約した場合に、いかなるペナルティが発生するか、購入者にとっては極めて重要な点であり、この点に関する事前の情報提示が、購入すべきかどうかを決める判断において、決定的に重要な要素となるはずです。

銀行の担当者は、勧誘にあたっては、「円高になるなんてありえないでしょう」などと言って、円高ドル安になった場合の購入者のリスクに話題が向かうことも避け、説明する場面を作ることさえ回避していたものです。購入者としては、銀行が売る商品にはおかしなものは無いだろう、という素朴な信頼のもと、言われるままに購入を決めてしまう傾向にあります。

しかし、ドル安になって損害が発生し、かつそれが継続するようになって、購入者が銀行の担当者に「取引を取り止めたいのだが、出来ないだろうか」と相談すると、「解約するのなら、解約損害金を支払え」と言われます。
しかし、その解約損害金が驚くほど膨大になり、購入者の企業経営そのものを危うくする事態となります。それが、今大きな社会問題となっている、通貨オプション・fxオプション(為替デリバティブ)問題の発生メカニズムなのです。
<< 前へ TOP(目次)へ 次へ >>
   
 

M&A・事業再生の弁護士-金子・福山法律事務所