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第4次産業革命 IOTの戦略

<第三回> インダストリー4.0 日本の製造業は世界の下請けになってしまうのか?

第1.FAの成功体験が足を引っ張る!

 インダストリー4.0というと、「日本は、すでにファクトリ‐・オートメーション(FA)で世界をリードしている。心配することはない」という、楽観論に出会うことが多い。しかし、この成功体験こそが日本の足をひっぱっているのではなかろうか。
 インダストリー4.0が目指す「多品種少量生産」は、従来型のFAや、日本が誇る「トヨタ方式」とは、似て非なるものである。
 従来型のFAや「トヨタ方式」は、ネットで結んでも、自社内あるいは直接の取引先までであって、閉鎖的であり外にひろがっていない。
 インダストリー4.0では、顧客、販売から配送、部品、材料を担う全企業がネットでつながり、顧客の個別のニーズに答える「多品種少量生産」を目指す。
 ここでは、部品、材料を担う企業は、モジュール化と部品点数の最小化に努力しながら、互いにネットでつながり、開発、製造の時間とコストの最適化を目指している。他方、「トヨタ方式」は完成度が高いが、インダストリー4.0から見れば、在庫コストを下請けに押し付けているに過ぎないし、「多品種少量生産」(生産ラインでは、流れてくるものは前後で違っても構わない)という、カスタマイズ化に対応できない。
 将来の顧客は、例えば、VR(バーチャル・リアルティ)を駆使し、部品業者が提案するモジュールを組み合わせて、自分のほしいものを構想し発注する。端的に言えば、ここでは、販売店と部品業者が主役となる。その結果、完成品メーカーが単なるセットメーカーとなり、下請け化する。まさに、「トヨタが下請けとなる」という現象が実現してしまうのだ。
 さらに大事なことがある。FAでは、自社だけで必要なシステムを作り上げるので、膨大な設備投資が必要となる。ところがインダストリー4.0では、AIとクラウドのサービス会社が活躍し、個々の企業は、最低限のシステム投資で必要なコンピュータ環境を獲得できる。これで、システム投資を大幅に削減できる。さらに、ネットでつながることで生産ラインのシェアリングも可能となり、中小企業も、「多品種少量生産」が可能となる。
 ここで、最大のポイントは、AIとクラウドのサービス会社を、だれが提供するかである。言い換えれば、インダストリー4.0の勝者は誰かということである。
 このサービスはGEソフトウエアが先頭を走り、ドイツのシーメンスなどが追っているが、一企業が全産業界を制覇することは不可能である。各分野で、別々の勝者が誕生することになろう。
 後発のシーメンスは、例えば、発電所全体を統括管理できるシステム、工場全体を統括でシステムを提供し、それとともに、AIとクラウドのサービスを提供している。これは、まず生産ラインを抑え、それを核として広げていくという戦略なのだろう。
 日本でシーメンスをまねて、産業ロボット、工作機器メーカーなどが、AIとクラウドのサービス会社を設立して、多品種少量生産の生産ラインを完成品メーカーに提供することができないのだろうか。また、部品メーカーが、これをやってもおかしくはないであろう。
 とはいえ、日本の部品メーカーが主役になるのは大変そうだ。過去の系列時代からの「下請け意識」から卒業することが必要だからだ。それだけではない。ドイツの部品メーカーは、ボッシュをはじめ大部分は非上場だ。ところが、日本の大手の部品メーカーは、ほとんどが上場している。これだと、完成品メーカーが大株主として君臨し、独立できない。部品メーカーは、事業再編の中で、この点の克服も考える必要があろう。

第2.既存組織ではイノベーションは生まれない!

 経済学者ドラッカーによれば、イノベーションはベンチャー企業から生まれるし、既存の組織の外に展開するという。
 リーマンショック以降、アメリカのシリコンバレーで爆発したイノベーションは、ベンチャー企業がもたらしたものだ。それを、GoogleやAppleというITのジャイアントが出資して、育てあげている。例えば、Googleによるベンチャー出資は、年間75社に達したという。
 その結果、自動運転、AIやロボットの技術などで、今や日本は周回遅れとなってしまった。
 GEは、本稿第一回で紹介したとおり、2011年、GEソフトウエアを設立し、Predixというソフトウエアを開発して、産業界のウインドウズとすることを目指している。このGeソフトウエアは、シリコンバレーでスタートアップし、スタート時に優秀なエンジニアを1000人集めたという。
 GEの前CEOのジャック・ウエルチは、ドラッカーの信奉者として有名であったが、彼を継いだイメルタも、ドラッカーの信奉者のようだ。イノベーションは、既存の組織の外で展開するということを、十分に認識している。
 ドイツも同じである。eHorizonを擁し、自動運転の覇者に大手をかけたコンチネンタルは、1998年から15年間で、M&Aで100社を買収した。当然のことながら、自動運転のイノベーションは、タイヤ企業としての既存の組織の外で育ったものだ。
 ドイツは、国内ではアメリカほどベンチャーの土壌はない。しかし、その分、フィンランドやスウェーデンなど、国外のベンチャーを果敢に買収している。ノキアが持っていたHEREという地図ベンチャーは、ドイツの大手自動車メーカーが共同して購入したことも、前回説明した。世界展開する三次元地図は、自動運転に必須であるが、これも、既存組織外で獲得し、育てていこうとしている。
 ところが、日本企業は、これらの動きと全く逆の行動性向を持っている。それは、「自前主義」だ。「自前主義」は、自社内の人材と技術に頼ろうとするものであるが、どんなに頑張っても、既存組織内では、既存技術の改良すなわちインプルーブメントしかできず、イノベーションはできないのだ。
 今メーカーの多くでは、社長が大声で、「インダストリー4.0の時代だ。アメリカやドイツに負けないよう技術革新にがんばれ」と怒鳴っているはずだ。しかし、これだけでは、イノベーションは,生まれない。イノベーションのシーズが見つかったら、それを既存組織の外に出し、社内だけでなく外からも人材を集め、独立させて育てる必要があるのだ。
 私は今、ベンチャーの支援にも力を入れているが、その中で、iPS細胞の商品化を目指すベンチャーがある。iPS細胞は日本が主導権を握る数少ない分野であるが、出資してくれる企業探しは難航している。ある時、iPS細胞の事業化を考えているといるF社の記事が目に入ったので、出資しないかと声をかけてみた。ところが、その答えにびっくりした。「iPS細胞は成長部門と考えているが、シナジーが効かないのでお断りする」というのだ。
 しかし、イノベーションはシナジーとは関係ない。イノベーションはシナジーを超えた新たな分野を開拓するものなので、シナジーが効くわけはない。シナジーが効くとすれば、それは既存技術のインプルーブメントだ。要するにこのF社は、既存の組織内で、iPS細胞のイノベーションをやろうと思っているのだが、この頑固なまでの「自前主義」では、成功しないであろう。
 ところで、「企業内ベンチャー」という言葉を耳にすることがあるが、これは歓迎すべきである。企業内にイノベーションのシーズ(種)が見つかれば、既存組織の外で、ベンチャーとして育てる必要があるが、そのことが判っている言葉だ。だが、多くの場合、見込みがあれば、スピンアウトさせて社外に出したほうが、大きく育つことが多いであろう。
 最後に、失敗がマイナス評価にならない企業文化が必要だということを言っておきたい。イノベーションは、失敗の山の中から生まれるので、失敗は次の成功の糧になればよいという文化が必須である。既存技術のインプルーブメントで生きてきた日本企業は、いつの間にか失敗を怖がり、挑戦のできない企業文化を持つようになっているようだ。

第3.インダストリー4.0を実現するための、準備としてのM&Aが重要!

 インダストリー4.0は、イノベーションだけではない。それを生み出す土壌の準備としての、大胆なM&Aも必要となる。
 インダストリー4.0の第一歩は、IOT(物をインターネットにつなげる)である。となれば、メーカーとIT・通信企業間の提携、M&Aが必要となる。
 2015年12月、入力機器や変換・制御機器のミツミ電機と、極小ベアリング、モーターのミネベアが統合することを発表した。これはメーカーとITの統合であり、また、大型投資に備える、体力強化のためのM&Aともいえよう。これからは、このタイプのM&Aが盛んになるはずである。
 インダストリー4.0を実現するためには、部品のモジュラー化、部品点数の減少を推進することが必要だが、これは部品企業間の大胆な再編を伴うものである。
 IOTの次は、IOS、すなわちサービスがインターネットとつながる必要がある。これは、メーカーがサービス業とつながるなど、異業種間の連携、M&Aが必要となることを意味する。
 また、インダストリー4.0を実現するには、巨大な投資が必要となる。そのためには、M&Aで体力をつけることも考えるべきである。
 DMG森精機は、2015年5月、ドイツのDMG MORI SEIKI AG(旧ギルデマイスター)を連結子会社化し、一躍世界シェアトップの工作機械メーカーとなった。これで、次に展開するための技術だけでなく、基礎体力も獲得したと言えよう。そして同社は、自社の工作機械にセンサーを組み込み、クラウドとAIを使うことにより、エラー分析や技術サポートなどを実現とすることとなった。インダストリー4.0に向け大きく踏み出したと言えよう。
 さらに、重要なのは売却の技術である。日本でも、M&Aはかなり利用されるようになったが、売却の技術は、これからだ。
 国内の売却案件は、経営が不調か、後継者がいない場合が大部分であり、戦略的な売却は稀である。戦略的な売却はどうすべきかの技術の蓄積がないのだ。
 日本企業による海外企業の買収は増加したが、売却はまれである。買収できるということは、欧米側に売却の戦略があるということだが、日本にはこの売却の戦略がない。
 GEは、今、世界中で金融部門を売却している。フィンテックが発展する中、金融の将来は激変が見込まれる。既存の銀行業務の半分はフィンテックにおきかわるし、中央銀行も不要になるといわれる。株式市場も形態を大きく変えるはずだ。GEにとっては、将来危ういが今なら売れる金融部門を売却し、成長が見込まれる分野に経営資源を集中するつもりなのであろう。まさに、同社がよく口にする、「集中と選択」である。
 日本企業も、このような売却のM&A戦略を学ぶべきであろう。




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