第4次産業革命 IOTの戦略

インダストリー4.0で勝つためのM&A戦略

 この1年、日本の産業界では、IOTとかインダストリー4.0の言葉が飛び交い、テンヤワンヤである。それにより、アメリカのシリコンバレーでイノベーションが爆発し、その結果、人工知能やロボット、車の自動運転などの先端技術で日本は大幅に後れを取っていること、ドイツがインダストリー4.0の標語のもと、官民学を挙げてアメリカを急伸していること、そしてメルケルのドイツは、中国で、「アメリカがやってくる前に中国で標準を取る」と宣言して、インダストリー4.0の実証を推進していること、などが明らかになってきた。
 日本はこのままでは、米、独、中の下請けなってしまうであろう。日本も、全力を挙げて米、独、中を追いかけなければならない。そのためにはベンチャーを育成し、インダストリー4.0に即応したM&Aの技術を磨き、イノベーションを爆破させなければなければならない。これを徹底しなければ、ますます差が広がるであろう。
 今回は、インダストリー4.0を実現するために必要な、具体的なノウハウを研究し、企業が10年後に生き残るための方策を検討することとする。

<テーマ>

1.インダストリー4.0の本質は何か?

1)何が原動力か?
・世界は、生産過剰(90年代から、発展途上国が、生産に加入―内需の拡大より、生産の拡大がはるかに大きい)−競争は、
 顧客のほしいものを提供―顧客の潜在的需要がターゲット(ドラッカーの世界)―顧客の需要獲得の競争が、インターネットを
 舞台に、展開している

@開発も、顧客の需要・嗜好に合わせ開発。同時に開発期間を短縮
A生産は、ラインは多品種少量生産、部品はモジュラー化でカスタマイズ。
 3Dプリンター等で、部品の点数を減らす―生産のスピードアップ
Bサービス業が、顧客の嗜好、需要の合わせることの競争へ―製造業がサービス業へ
C故障の最小化、買い替えなくても性能向上
Dエネルギー革命―環境にやさしく省エネ
E労働力不足の解決
F生活環境のスマート化

2)現状は?
・インターネットの民間開放(93)後のITバブルの「アイデアのイノベーション」
 送信容量が小さくバブルがはじける→ビッグデータの送信が可能となり、クラウドの開発→「知識のイノベーション」
・シリコンバレーのイノベーションの爆発(AI,ロボット、自動運転、宇宙)
 ドイツの体系的コンセプト(多品種少量生産と自動運転)
・GE(GEソフトウエア)とシーメンスの戦いGoogleとAppleに対抗するSAP(産業ソフト大手)
 Google、テスラ、Appleの自動運転と、コンチネンタルを筆頭にドイツ部品メーカーによる自動運転の覇権争い
市場価値は顧客が決める―カスタマイズ
・開発の短縮(GEのファーストワークが代表。顧客の視点)、
 生産の短縮(3Dプリンターなどによる部品点数の最小化、モジュラー化)
・スマートハウス・スマートシティ、建機・農機の無人化
・フィンテク、インシュアテク、シェアリング・エコノミとの協業

3)標準化戦争
ドイツのインダストリー4.0のプラットフォーム、
 アメリカのIIC
(インダストリアル・インターネット・コンソーシアムの標準化戦争と、
 16年4月のオバマ大統領のハノーバーメッセ訪問による米独の標準化への協調合意
・詳細は後述

4)中国の参入−不向きな日本と、そのために生まれた中国
日本は、顧客を見ず、「いいものを作れば売れる」という信仰が根強い。
 本質的に、和が好きで、周りの空気に合わせることが、最大の価値観なので、変化が嫌い―インターネットの対する反応が弱い。

中国人は、逆に「売れそうだから作る」。ひとと違うことをすることに、抵抗感はない。
 インダストリー4.0は国民性そのもの―ドイツは、それを見抜いて、広大なマーケットである中国で、
 インダストリー4.0の実証
・メルケル・
ドイツのインダストリー4.0(1年11月)と同時代のアベノミクス(12年12月)
は、インダストリー4.は、まったく興味なし

・ドイツは中国でインダストリー4.の実践―標準化で先行を狙う
 15年ハノーバーメッセで、中国とインドをパートナー国に選定
・「メーカーがサービス業へ」は、中国人の国民性そのもの―「いい物を作れば売れるはず」と思い込む日本と対照的
中国は、ベンチャー投資が盛ん(深せん)
 15年は、アメリカ7兆、中国3兆、日本1200億

シェアリング・エコノミ―やフィンテクが盛ん、
電気自動車の新興企業が誕生しつつある

5)日本の現状
自前主義でベンチャー出資やM&Aが少なくスピード感がない
 社内で、すべてをまかなう垂直統合型
人の流動性が少ない
海外で実証するという意欲が少ない

FAが進歩していたので、オープンなネットワークが構築できない(成功体験が邪魔をしている)
<三菱電機、ファナック、安川電機、オムロンなどのFAの雄は、統合し、クラウドのOSを確保できるか?
あるいは、海外の標準かの波に押しつぶされるか?>

・産官学の連携が苦手
・海外との提携が重要だが、及び腰
・日本の、設備投資の中でICTの占める割合は、英米の半分

6)産業構造の激変の結果は?
・今有効な技術が10年後には不要、今ある職業が10年後には不要、今ある産業分野が10年後には消滅
 新興企業の勃興
・自動運転とシェアリング・エコノミーで、車の実需要は半減
・インダストリー4.0で、メーカーの半分は不要となる。
 新陳代謝−変われない企業の淘汰、新興企業の勃興
・AI人材、データサイエンス人材の奪い合い
 人材確保のための、M&A
社会人教育を含めた、教育の変革のできる国が勝つか?

2.イノベーションを加速させるベンチャー支援とM&A

1)イノベーションとは
 <ドラッカー>
 ・イノベーションは、ベンチャーから
 ・イノベーションは、既存の組織の外で展開
 ・イノベーションの7つの機会
  @予期せぬ失敗と成功
  Aギャップを探す
  Bニーズを見つける
  C産業構造の変化を知る
  D人口構造の変化に着目
  E認識の変化をとらえる
  F新しい知識を活用
  +アイデアによるイノベーション

2)ベンチャー支援で、イノベーションを達成するためのコンセプトと手順
日本のベンチャーは、けた外れに少ない。
 なり手も少ないし、支援する企業、ファンド、ベンチャーキャピトル、エンジェルも極端に少ない―悪循環

日本にはベンチャーが極端に少ない―海外で探せ!
ベンチャーは取り込めない―取り込むと死んでしまう―出資しかない
 ただし、マネジメントは支援してよい(マネジメント力が乏しいことが多い)
イノベーションはシナジーと相反する―将来のシナジーは考えてもいい
 既存の事業とシナジーがあるのは、単に改良であり、イノベーションでない。
 ex.
・新たな事業分野を育てる−自社は、新たな事業分野を創造する−という意識があってよいはず
 スタートアップ企業は、イノベーションの核の一つとする
 多数のスタートアップ企業を軸に、新たな地盤を形成するというイメージ
 cf.・ソフトバンクのアリババへの出資
    ・年間75社のスタートアップ企業を支援するGoogleの狙いを考えること!
・ベンチャーからみれば、支配されないために、
 @50%未満を守る。
 A支援先を一つに固定しない。
 B議決権無き優先株を活用
・ベンチャーが成功するための四つの原則(ドラッカー)
 @市場に焦点を合わせること
 A財務上の見通し、ことに、キャッシュフローと資金について計画があること
  借り入れ、増資、社債には多くはたよれない。
  出資には、議決権制限付き優先株は効果的
  クラウドファンディングの活用(中国で盛ん)
 Bトップマネージメントのチームをそれが実際に必要とされる「はるか前」から用意しておくこと
 C創業者たる企業家が、自らの役割、責任、位置づけについて決断する

3)M&Aで、イノベーションを達成するためのコンセプトと手順
「イノベーションは、既存の組織の外で展開」―今までの組織でできることは、単なる改良―独立した新会社で推進
 eI.GEソフトウエアが、インダストリアルインターネットを推進

企業内からスタートするとしても、スキームは、既存の組織から独立した、グループ化、システム化―社内で、
 スタートアップ企業を作るという意識が必要−分社を目指すこと(企業分割。新会社への事業譲渡)

同時に、M&Aで、イノベーションをスピードアップすること―自前主義では間に合わない
 ex.自動運転の雄コンチネンタルは、15年間で、100社買収

・契約上の提携−部分的な出資−株式買収による子会社化―持ち株会社―合併事業譲渡は、子会社化、合併に準ずる
・ターゲットの技術を生かすスキーム作りは多様技術・開発部門を独立させるときは、同時に、組織の新陳代謝、活性化を図る
・「いいものをつくれば売れる」のではなく、「顧客を見て、売れるものを作る」
 5年後、10年後、15年後のマーケットを考える
  何が求められているか?
  そのためには、いかなる技術が必要か?
  それを可能とする組織作りは?
 営業部門の意見を常に取り込める体制づくり
  <注意>営業は、今売れるものしか考えない危険もある−本質的に保守的
・GEのファーストワークのような、開発の短縮を図る
合弁は重要(ex.メーカーとITの合弁)、しかし、リスクの大きいことを知るべし(ドラッカー)
 主導権争いが生じるリスクを知っておくべき
 トップの人選が決定的、その他マネジメントが重要
 新たに人材を採用する方がうまくいく
合併は、例外。イノベーションの準備ということになる。
 統合の技術・マネジメントが重要
 両組織の人的統合が難しい
  元の組織が硬直的なことが最大原因―組織をゼロから作り直すこと!
  イノベーションは、外に出すことを忘れずに
  トップの人選で決まる
  難問は、だぶついた中間管理職をどうするかである。

4)イノベーションのため、人材を得ることのコンセプト
・GEソフトウエアは、シリコンバレーの近くに設立。1000名の優秀なエンジニアを集める。
 ベンチャーやM&Aの対象がないときは、人材あつめで、イノベーションの実現
・人材がいるところをターゲット
 大学であれば、インターンシップ、寄付口座の活用、共同研究
 <AIや、データサイエンスは、人材払底。たとえば、アセアンから、優秀な人材を集め、教育する>
・既存の会社に取り込むのは、改良であり、イノベーションでない
・年功序列ではダメ。
 業績の評価制度の充実。
・組織の恒常的な更新など、マネジメントが必要。
 組織は、常に劣化する
 <最大の失敗は、自社の組織が硬直的>
・社内の再教育のプログラム(日本は、これが向いているか?)
 留学、外部との連携

3.イノベーションの準備としてのM&A

・イノベーションの生み出す前提として、体力をつけるためのM&A,メーカーがIT/通信企業、
 サービス企業とM&Aでつながることが必要となる。
 自社内で、すべて達成しようというのは無理。
・IOTは第一次段階。顧客を見据えたIOS、IOCが続く。IOTは、単なる最初の第一歩。
・イノベーションのためには、新会社が必要。

1) いかなるM&Aの手段が効果的か?
・自社だけではIOTは不可能。
 メーカーとIT・通信系の提携が基本
 サービス会社と提携も考える
・なにを目指すか。具体的なプランを形成しながら、提携
 5年後のマーケット、10年後のマーケットを考える
 そのためには、いかなるところと組むか?
 常に、顧客がなにを求めるか?を考える。
・どこまで目指すか。アプリケーションのままか。
 OSはどうするか? クラウドは?
 どこまで、発展するか。
 実証するマーケットは?
・イノベーションは、既存の組織の外で展開
 イノベーションは、ベンチャーから生まれる

2) よくある失敗は、何が原因か?
・イノベーションとシナジーの混同
・なにができるか。5年後のマーケットの予想が不十分
 顧客が見えていない。
・さらなるM&Aができない! 一回で、解決することはない!
 結局はビジョンの不足!
・廃棄ができない!
 「選択と集中」で、同時に廃止すべき部門はないのか探す!
 かっての花形部門の廃棄が必要!
 イノベーションの資金に必要
 ex.GEは金融部門を売却している。なぜか?
・売る戦略が無い!
 廃棄は売ること!
 M&Aに失敗したら、早めに売る!
・統合の人的な失敗―組織の刷新が不十分
 最大の理由は、自社の組織が硬直的!
 詳細は後述!

4.モジュール化と部品点数の減少のM&A

1) モジュール化は、部品メーカーにどのようなインパクトを与えるか?
カスタマイズに対応するには、モジュラー化が必須
 部品点数の減少が伴う
部品メーカーの独立が当然!
 日本は、系列化により、独立性が低い
 ドイツは、部品のトップメーカーも、上場企業はまれ―独立性を重視する

・部品メーカーの独立は、セットメーカーが、誕生しやすくなる!
 cf.電動バイクで、中国にベンチャーが乱立
部品メーカーは、半減する

2) 部品点数の減少
モジュラー化は、部品の点数の減少を伴う
 製造時間を短縮

3Ð プリンタは、部品点数を減少させる
 溶接部分を5分の1にして、耐久力は5倍(GE)
 故障を低減
 製造時間を短縮

部品メーカの大幅な減少を伴う

3) モジュール化、部品点数の減少のためのM&A
・部品点数を縮小、モジュラー化を目指して、経営統合
・メーカー同士の合併が原則
 統合のマネジメント
 組織構成を刷新
 有能な人材の確保と人員整理が必要
 不要な部分、贅肉の削除がともう
・合弁は、主導権争いに要注意。
・持ち株会社もありうる
 重複投資を避ける
・合併、持ち株会社は買収資金がなくてもできる。
 中堅、中小も果敢に実行し、生き残りをかける
部品メーカは激減する―対策がなければ駆逐される。

5.標準化の戦争はどう展開するか?

・個別の機器を運用するシステムのOSの標準化と、クラウドに乗せるOSの標準化と、二層の標準がありうる
・インダストリー4.0では、標準化の場面が複雑で、多数ありうるオフィスの、ウインドウズのように、
  一つが支配することはない。
・クラウドとOSを支配するものが勝者!

1) Predixの標準化はどこまで進んでいるか?
・GEは、クラウド用の上のOSとして、Predixという産業用ソフトを開発した・
 IOTのプラットホーム(data lakeというデータベースと、predic tivity solutionsと呼ぶ
 アプリケーション)。
・predixは、ジェットエンジン、大型ガスタービン、医療機器の他、生産ライン、検査装置、ウエアラブルディバイス、
 ロボティックスなど、応用範囲は無限である。
・Predixという産業用ソフトは、マイクロソフトのウィンドウズの産業機器版であり、2014年10月にオープン化し、
 オープンプラットフォームとなる。
・GE は、米Intel や米Cisco Systems などIT 大手と提携している(Intel とはデバイス組み込みのインテリジェントな
 センサーネットワークのアーキテクチャーの開発。
 Cisco とはPredix と連携可能で耐障害性を備えたルーターの開発)。
 通信大手では、まず、米AT&T と提携。さらに、Softbank やVerizon、Vodafone らと提携。
 Predix とアセットをワイヤレスで接続する手段を整備する。
 さらに、セキュリティを強固にするため、既に産業用機器のセキュリティ専門企業である米Wurldtech を買収している。
・14年、普及啓蒙を目的にしたIIC(The Industrial Internet Consortium)を設立した。創設メンバーは、GE、AT&T、
 Cisco、Intel、IBM の5社。現在は、富士通や日立製作所などの日本企業を含め85社が加盟する。

2) ドイツの標準化の展開は?
・2011年11月 政府のHigh‐Tech‐Strategy2020行動計画の中で、インダストリー4.0を採択
・13年4月 「インダストリー4.0」プラットホームを発表
 シーメンス、ボッシュ、VW,BMW, ダイムラー、ルフトハンザ、ドイツ
 ポストなどのほか、中小企業も多数(合計60社)
 フルンホーファー研究所も参加
・シーメンス、SAPのOSの展開
・産学官がまとまっていることが特徴

3)ドイツは、中国で、何を目指しているか?
・中国は、世界最大のロボット需要地
 中国家電最王手のミデア・グループ(美的集団)が、産業用ロボットで、シェア世界トップ(?)の、独のクカを買収か?
 <ex.美的は、安川電機のロボット事業と提携し、エアコン工場で、先端的な自動化ラインを共同開発。これは?>
・GEの永久のライバルであるシーメンスは、2007年ころから、中国で情報系の機能強化に力を入れている。
 11年には、BMWと中国の合弁企業の工場に、1ラインで全車種を製造できる、多品種少量生産を現実化する工場を
 納入している。13年には、成都(四川省)に、スマート工場を建設した。
 これらは、シーメンスの多品種少量生産のパイロット版という位置づけのようだ。
 メルケル首相は、実は毎年のように中国を訪問している。14年7月には、習近平国家主席との間で、
 インダストリー4.0の協力文書を取り交わしている。
 同首相は、「米国の準備の整わないうちに、中国の巨大市場を獲得する。その手段は、標準化だ」と、常々公言しているのだ。

4)ドイツとアメリカの提携
・米独は、16年3月上旬、チューリッヒで、規格標準化へ向け強調することで合意
・16年4月15日、世界最大のハイテク産業見本市ハノーバーメッセCeBITに、オバマ大統領が出席。
 メルケル首相と提携を宣言。
 インダストリー4.0と、IICが提携し、標準化への工程表や見取り図を互いに持ち寄ることに合意

5)日本
・FAは、日本電機工業界のFLネットが標準
 ガラパゴス状態で、輸入機器と連動性が悪い
 国際標準化には程遠い
 通信規格で、ソフトのOSでなく、クラウド上のOSではない。
・日本は、FAのフロントランナーであるが、それが災いしている。
 FAは、一企業内の閉じたシステム。多品種少量生産のインダストリー4.0
 とは、似て非なるもの。その成功体験が、インダストリー4.0への挑戦への妨げとなっている。
・トヨタは、独ベッコフォトメーションがオープン化した「インサーキット」 を採用
 <注>独インダストリー4.0では、米OPCファウンデーションを通信規格に採用した。しかし、多種な規格が乱立

6)対策は?
・Predixは万能でない−使いにくい分野は、多いはず!
 日本が、標準を目指せる分野は、少なくない!
 クラウドとOSを支配するものが勝者!→「早い者勝ち」でなく、de factoが勝つ!
・局所的には、クラウドでなく、半導体とAIで、標準をとれる分野もあり得る。

6.シェアライド、フィンテック、スマートハウス、スマートシティとインダストリー4.0の関係

1)シェアリング・エコノミ
「資本財を遊ばせない」から、イノベーション−多くのベンチャーが登場
 シェアライドが典型
システムの投下資本を最小化する
 クラウドも、シェアリング・エコノミ
 GEソフトウエアは、顧客にシステムの投下資本を最小化して、コンピュータ環境を手に入れさせる

2) フィンテック
・フィンテック−「メーカーがサービス産業」の重大な要素
 銀行業務の半分以上に代替
 仮想コイン、取引所や中央銀行が不要となる
 <三菱東京UFJは、銀行で初めて仮想コインを導入すると発表>
ブロックチェーンの技術
 情報の分散管理―応用範囲は広い
・中国は、この分野の実践が早い

3)スマートハウス、スマートシティ
・スマートハウス、スマートシティ−太陽光発電と省エネ、生活の利便性の向上、健康・在宅医療・介護の充実、
 電気自動車との連携
・自動車の情報端末・ロボット化、ロボットの活用、ドローンの活用
 これらが、インターネットとつながり、クラウドを活用

7.医療機器への参入はどうすればよいか?

1)医療機器のインダストリー4.0
・医療機器のIOT化と病院の全体の統括的システムが前段階
・インダストリー4.0は、クラウドに乗せたOSにより、病院のシステム投資を最小化する
・だれが統合システムのOSの標準をとるか?
・医療スタッフ、患者、検査などを、統括するシステムの覇権争い
 負ければ、アプリケーションを提供できるだけになる
ex.機械部品のミネベアとミツミ電気は、15年12月、17年4月統合を目指すことを発表。
 ミネベアの重量センサー、金属加工技術の会社と、無線部品、ネットワーク技術の会社の統合により、
 例えば、医療用ベッドで、患者の心的状況を発信できる。

 →これはアプリケーション、病院を統括するOSをとるか?
  クラウドのOSまでいけるか?
・GE、シーメンス、フィリップスのトップ争いは凄い
 多くの企業にとって、参入の魅力は高い。
 しかし、日本は周回遅れ
・シーメンスのシンガポールでの成果をみよ!
 <現在、オランダのフィリップスが、米国、シンガポール、カナダで行っている「術後在宅ケアビジネス」は注目してよい。5%の人間が50%の医療費を使っていると言われるが、その対策の一つとして、術後できるだけ早く帰宅させ、在宅医療に移すことが求められる。
 その代り、術後ケアのデバイスからあがるデータをコールセンターで監視し、異常があれば遠隔医療で医師がケアをする。これにより、医療費を抑えながら的確な患者ケアを可能とした。
 これによりシンガ ポールでは医療費40%削減を実現したという。シンガポールの場合、フィリップスがビジネスを行っている相手は政府である。スマート病院では、政府や自治体を巻き込む、規模の大きなビジネスが必要となっているようだ。>

2)まず、海外展開から!
・日本の医療界は、後進的で、病院の規模が小さく最新の医療機器を導入できる力がない
 −4000床。5000床の中核病院でないと導入できない―アメリカその他海外のマーケットから開拓すること

8.自動運転で、誰が世界をどう変えるか?

・自動運転は、アメリカのGooglと、ドイツのコンチネンタルが突出
・ドイツのコンチネンタルのeHorizon―車からでるビッグデータをAIとクラウドで解析して車にフィードバックして、
  完全自動運転を可能とする−世界の自動車メーカーを取り込み、標準化をねらう。
・独の自動車メーカーは、ノキアの世界最大の地図ソフトHEREを買い込み、世界展開
・Googlは、フィアット・クライスラーとフォードの車で、自動運転?
 Appleは、自動運転のEVを2019年に発表―台湾企業がOEMか?
・トラック、タクシーは完全自動運転に向かう、
・シェアリングで、カラの移動は最小化、車庫で休止は最小化
 物流との連携、ドローンとの連携
・シェアリングと自動運転で、車の実需用は、半減する。
 車を楽しむという層は、どのくらい残るか?
・高度都市交通システムと連携
・車は、ビッグデータの宝庫

9.自動車の実需要が半減の対策

・シェアリングと自動運転で、車の実需用は、半減する。
・電機自動車は、新規参入者が多数登場するはず
・車のサービス業へ経営資源を移す
 GEはLIFTやサイドカー、フォード、ダイムラー、VWはイスラエルのゲット、
  広州汽車集団やトヨタは、Uberに出資
 Appleは中国のライドシェアのベンチャーDiDi Chuxingに出資
  <シャープが買収したホンハイは、アップル自動車を生産か?>
 ロボットや航空など、隣接分野へ進出
  Googlは、自動車と同時にロボットへ!
・実需用が半減―事業廃棄の技術が重要
・部品業界は、医療等の他分野を開拓する必要がある

10.インダストリー4.0で、メーカーが半減することの対策は?

・元々、日本のメーカーは、長期減少―82年のピークの半分近い企業数
・モジュラー化、部品の点数の最小化、市場の縮小で、メーカーはさら半減→町工場の消滅
・IOT化に対応できるところ、モジュラー化に対応できるところ、インダストリー4.0に対応できるところに、
 集約する−乗れないところが、脱落する「総合格闘技」の時代へ!

11.事業の撤退、企業体の凝縮の技術

・日本は、M&Aが盛んになったようだが、まだ、売る戦略が、身に付いていない。 売るときは、業績が悪いか、
 後継者がいない時に限られる。
 しかし、日本企業が海外企業を買えるということは、海外企業には、売る戦略があるからである。
 経営が、「総合格闘技」となった今は、売る戦略を身につける必要がある。
 ex.インダストリアル・インターネットとのGEは、今、金融部門を売却し、新事業に集中している

1)方針を決める
・10年後、5年後のマーケット、顧客、競争相手を見定めて、明確なビジョンの構築
 今ある競争相手よりも、新たな競争相手を見極める!
・駄目な分野は、生き残るか、撤退するかを見極める!
どちらの選択でも、力のあるうちに、新分野へ多角化
 ex.遅れると、エレクトロニクスの負け組のようになる

2)生き残りを選択したとき
・縮小するマーケット、競争が激化するマーケットで生き残るには、合併しながら凝縮する方法が原則!
 ex.スーパーマーケットやコンビニ
 高炉業界
 石油業界
 半導体、テレビ

2)撤退を選択したとき
・競争力の落ちた分野からの撤退、マーケットの縮小する分野から撤退で切り抜け
・撤退の唯一の方法は、売却
 早ければ早いほど、有利に売れる
 買い手は、その分野で、生き残りをはかっている企業、または外資
  外資は、日本企業と違う、事業展開ができるので、買い手になりうる

3)持株会社の必要性
・普段から、持ち株会社にしておく
 持株会社は、延びる分野を強くし、ダメな分野から撤退する、機動的な処理を可能とする
・他分野へ多角化は、持株会社でないとうまくいかない。
 ex.自動車の部品メーカーは、医療機器を目指す

4)人の流動性と再教育
・年功序列、終身雇用の亡霊が残る、日本企業は、人の流動性が極端に少ない。
 優秀な人材を外国からリクルートするなど、不断から、流動性を企業文化としていることが必要
・生き残り、撤退のいずれの場合でも、人材の処理が最大の問題
 解雇の最小化のためには、再教育のシステムを早めに用意する

12.建設機器、農業機器の無人化とインダストリー4.0の関係

・無人化の技術は、日本は世界をリード。
 それを生かして、統合的システムで、OSの標準化を目指すべき。
 クラウドとAIで、誰が標準をとるか?
・そのためには、保守的な日本のマーケットでなく、海外のマーケットを目指すべき

12.ビッグデータのマーケットの構築

・中国では、すでに、試行されている
 貴陽ビッグデータ交易所 貴州で、ビッグデータ総合試験区(特区)の指定を受ける
 すでに、300万社が登録 売買可能な形で流通させる
・ブロックチェーンが、活用されることになろう。


M&A・事業再生の弁護士-金子・福山法律事務所