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移転価格課税の処分は取り消せる!

ホンダ事件とエクアドル・バナナ事件から学べること
1.はじめに

 ホンダ事件は納税者が勝訴し、エクアドル・バナナ事件は敗訴している。しかし、後者については、裁判所の判決にはかなり無理を感じる。若干の材料が補充されれば、勝訴出来た可能性が高いとおもわれる。
 ホンダ事件は、残余利益分割法、エクアドル・バナナ事件は寄与度利益分割法という手法を使っているが、それが、どのようなものかを理解するには、本件の二判決は、大いに参考になるはずである。
 現代の国際取引関係からすると、外国に子会社や関連会社を有しているものは、現地での利益に対して、移転価格課税が課されるリスクは高いといえる。本件の次例を研究する事により、国際間取引をしているものには、移転価格課税が課されるリスクを回避してもらうとともに、仮に、課税された場合にも、処分取り消しも不可能でないことを理解してもらいたいものである。

2.ホンダ事件の概要

 東京地裁平成26年(2014年)8月28日判決は、原告(本田技研)の請求を認め、約75億6750万円の課税処分取り消しを命じた。
 本件は、自動二輪車、四輪車の製造及び販売を主たる事業とする内国法人である原告(本田技研)が、その間接子会社であり、ブラジルのアマゾナス州に設置されたマナウス自由貿易地域(以下「マナウスフリーゾーン」という。)で自動二輪車の製造及び販売事業を行っている外国法人であるP1 Ltda.(以下「P1社」という。)及びその子会社との間で、自動二輪車の部品等の販売及び技術支援(以下「本件国外関連取引」という。)を行っていた。
 それにより支払を受けた対価の額を収益の額に算入して、平成10年3月期(、平成11年3月期、平成13年3月期、平成14年3月期及び平成15年3月期の各事業年度の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁から、「残余利益分割法」により、本件各事業年度の所得金額に本件独立企業間価格と本件国外関連取引の対価の額との差額を加算すべきであるとして、本件各更正等を受けた(原告が提供した、ノウハウ等の無形資産の対価が加算されるべきとしたものである)。
 そこで、処分行政庁の所属する国を被告として、本件各更正等の一部又は全部の取消しを求める事案である。
 原告は、P1社及びその子会社はマナウスフリーゾーンで事業活動を行うことによる税制上の利益(以下「マナウス税恩典利益」といい、その基礎となる税制度を「マナウス税恩典」という。)を享受して多額の利益を得ているが、それはP1社及びその子会社が事業活動を行う市場の条件に基づくものであるからP1社及びその子会社に帰属すべきものであり(利益は、マナウス税恩典に基づくもので、原告の提供した無形資産ではない)、それが原告とP1社及びその子会社に配分されるべきものであることを前提としてされた処分行政庁による本件独立企業間価格の算定は違法であるなどと主張した。

3.エクアドル・バナナ事件の概要

 本件では、原告が、原告に対してバナナを販売しているバハマ法人で国外関連者に該当するP1からエクアドルからバナナを輸入した取引について、寄与度利益分割法を採用し、原告がP1に支払った対価の額が独立企業間価格を超えているとして、芝税務署長が、平成11年12月期ないし平成13年12月期について、上記独立企業間価格と本件国外関連取引の対価の額との差額を原告からP1に対する所得移転額であると認定し、平成11年12月期ないし平成16年12月期の法人税について本件各更正処分を行うとともに、平成11年12月期、平成15年12月期及び平成16年12月期の過少申告加算税に係る本件各賦課決定処分をした。
 これに対し、本件各処分は、寄与度利益分割法を用いるに当たり日本市場の特殊要因により生じた原告の営業損失を分割対象利益から控除しなかったこと、原告とP1が支出した販売費及び一般管理費(以下「販管費」という。)の額の割合により分割対象利益を分割したこと(寄与度利益分割法)を違法とするなどとして、本件各更正処分のうち確定申告に係る所得金額、納付すべき法人税額を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金額を下回る部分並びに当該部分に係る過少申告加算税に係る本件各賦課決定処分の取消しを求めた事案である。
 しかし、東京地裁平成24年4月27日判決は、請求棄却であった。

<なお、税務当局の調査の中で、フィリピン産バナナの輸入取引を行うA社に絞り、同社の取引を比較対象としたが、寄与度利益分割法を採用したことにより、この比較対象会社は使われなかった。>

4.移転価格課税で狙われやすいパターン

 海外展開している日本企業は多数ある。税務当局は、全てに、目を光らすことは不可能である。その中で、狙われやすい、目立つ企業というものがあるようだ。
一般的には、海外子会社が法人税の安い国にある時は、狙われやすいし、ことに、わざわざタックスヘブンにある子会社を経由して、輸出入をしている時は、そこに、利益を蓄積しているのではないかと、狙われることは十分にありうることである。
 エクアドル・バナナ事件は、この一般型とは異なるが、原告は日本法人であるが、英国領バミューダ諸島に本店を置くバハマ法人の100%子会社であり、エクアドル法人も、バハマ法人の100%子会社である。売り主も買い主もバハマ会社の子会社ということは、如何にも課税回避を疑われやすい形である。現に、原告へのバナナの販売価格は、バハマの親会社が決めている。狙われるべくして、狙われたといえる。
 またホンダ事件の原告は、自動二輪車の製造及び販売に関する技術情報、部品及び製造設備の供給メーカー網を含む量産体制の確立及び生産体質の改革に関するノウハウを、ブラジル法人へ供与し、原告の商標、ブランド等の市場に関する無形資産の使用を、ブラジル法人に許諾していた。ブラジル子会社は、これらに依存しなければ、収益を上げられないであろう。ただ、それがどのようなかたちで支払われるかは様々なはずで、今回の課税時期に支払うべきと決めつけた本件処分は、無理があったのであろう。
 そして、大きな税制上の恩典があるという事実が明らかになったので、原告の言い分が認められたわけである。
 いずれにしても、日本法人の無形資産ノウハウ等のが、現地法人に頼られているというのも、果たして、適正な対価が払われているか、疑われ安いのである。

5.なぜ、ホンダ事件は勝てて、エクアドル・バナナ事件は、負けたのか。

 ホンダ事件での原告の抗弁は、ブラジル法人がマナウスフリーゾーンにある工場であり、そこで事業活動を行うことにより、輸入税とICMS(消費税)で、大きな税制上の恩典を受けており、 ブラジル法人に利益が蓄積されたのは、それによるのであるというものであった。
 これが、寄与度利益分割法においては、決定的な効果をあげたのである。

エクアドル・バナナ事件では、原告は、

  • 平成12年12月期及び平成13年12月期における分割対象利益は、その全てがエクアドル産バナナの浜値の大幅な下落等の日本市場の特殊要因により生じた原告の営業損失から構成され、原告及びP1の販管費との間に関連性はない。
  • エクアドルは、バナナの輸出業者がバナナの生産者に対して支払うべき最低価格(最低買取価格)及びバナナの輸出業者が請求する輸出価格の下限(最低輸出価格)を設定しており、これにより、高い価格で、原告に輸出したので、バハマ法人に利益が蓄積されたにすぎない、と主張した。

 しかし、これらは裁判所に取り上げられなかった。
 まず、1については、裁判所は、「通常の独立企業間の取引であれば、一方の市場における需給等の状況に大きな変化が生じたことにより、一方の当事者のみに多額の営業損失が生じるような場合、取引価格を改定し、取引量を減少させ又は取引自体を終了させるなどすることなく、従前の条件のままで漫然と取引を継続することは通常は考え難いから、その影響は少なからず他方の当事者にも及ぶものと考えられる」と判断した。
 裁判所は、日本市場で価格下落があっても、外国の輸出企業が必要な調整をするので、営業利益率は、一方の市場の変化で変化しないという前提で、判断しているものである。しかし、この前提が本当に正しいのだろうか。
 一般には、外国における輸出量を比例させて落としたり、価格を、連動して低下できない。営業利益率を両者で同じに保つという、器用なことは不可能である。
 2にあるとおり、エクアドル政府は最低買い取り価格、最低輸出価格を設定させるので、日本市場にあわせて下げることは、不可能である。となれば、価格の低下は、日本法人が吸収しなければならないので、営業利益率は、日本法人だけが、大きな影響を受けることになる。
 裁判所の判断は、熟していないと言うべきである。
 さらに、原告は、原告の販管費には、広告宣伝費、役員等の給与、賃借料、減価償却費等が計上されているのに対し、P1の販管費には、多額の弁護士費用や会計事務所等への支払が計上されており、個別の販管費が所得の発生に対する寄与度は当然に異なるから、それぞれの費用が分割対象利益の発生にどのように寄与しているか明らかにすべきである旨主張する。
 この論理は、極めて合理的であるが、原告は、多額の弁護士費用や会計事務所等への支払が計上されているが、その内容が何だったか、主張立証ができなかったようである。残念なことである。
 本件の「寄与度利益分割法」は、販管費をベースに考えているが、販管費以外の要素が、営業利益率に影響を及ぶすことは不可避であり、となれば、それを無視した処置は、違法になるであろう。

 



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