相続・弁護士 法律相談

第2章 相続後申告時の節税いろいろ

相続開始後においては、不動産評価の圧縮が重要である。ポイントを説明しよう。
相続税の改正のポイント

1.広大地の評価減

・広大地は、一定の条件のもとで評価減がある。 ・広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいう。ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除かれる。

  1. 市街化区域
    三大都市圏  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 500u以上
    それ以外の地域 ・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1,000u以上
  2. 非線引き都市計画区域及び準都市計画区域  ・・・・・・・・ 3,000u以上
・広大地の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次により計算した金額によって評価する。
@ 広大地が路線価地域に所在する場合
  広大地の価額=広大地の面する路線の路線価×広大地補正率×地積
  広大地補正率=0.6−0.05×広大地の地積÷1,000u
A 広大地が倍率地域に所在する場合
  その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1当たりの価額を、
  上記(1)の算式における「広大地の面する路線の路線価」に置き換えて計算する。

2.小規模宅地等の評価減

  1. 特例の概要
    個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」という)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例という。
     なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできない (注)1.被相続人等とは、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族をいう。
    2.宅地等とは、土地又は土地の上に存する権利で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されているものをいう。
     ただし、棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものに限られる。
    *特定同族会社株式の評価減とは選択的適用となる。

  2. 減額される割合等

    平成22年4月1日以後に相続の開始のあった被相続人に係る相続税について、小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額する。

    相続開始の直前における宅地等の利用区分

    要件

    限度面積

    減額される割合

    被相続人等の事業の用に供されていた宅地等

    貸付事業以外の事業用の宅地等

    @

    特定事業用宅地等に該当する宅地等

    400u

    80%

    貸付事業用の宅地等

    一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業
    (貸付事業を除く)用の宅地等

    A

    特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等

    400u

    80%

    B

    貸付事業用宅地等に該当する宅地等

    200u

    50%

    一定の法人に貸し付けられ
    その法人の貸付事業用の宅地等

    C

    貸付事業用宅地等に該当する宅地等

    200u

    50%

    被相続人等の貸付事業用の宅地等

    D

    貸付事業用宅地等に該当する宅地等

    200u

    50%

    被相続人等の居住の用に供されていた宅地等

    E

    特定居住用宅地等に該当する宅地等

    240u

    80%

    (注)
    1 「貸付事業」とは、「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいう(以下同)。 2 「限度面積」については、「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」、「特定居住用宅地等」及び「貸付事業用宅地等」のうちいずれか2以上についてこの特例の適用を受けようとする場合は、次の算式を満たす面積がそれぞれの宅地等の限度面積になります。
    A+(B×5/3)+(C×2)≦400u
     A:「特定事業用宅地等」、「特定同族会社事業用宅地等」の面積の合計(@+A)
     B:「特定居住用宅地等」の面積の合計(E)
     C:「貸付事業用宅地等」の面積の合計(B+C+D)

  3. 特例の対象となる宅地等
    この特例は、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等のいずれかに該当する宅地等であることが必要である。

    <特定事業用宅地等>

    相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除く。以下同じ)の用に供されていた宅地等で、次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいう(次の表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られる)。

    ○特定事業用宅地等の要件

    区分

    特例の適用要件

    被相続人の事業の用に
    供されていた宅地等

    事業承継要件

    その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。

    保有継続要件

    その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

    被相続人と生計を一にしていた
    被相続人の親族の事業の用に
    供されていた宅地等

    事業継続要件

    相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること。

    保有継続要件

    その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。


    <特定居住用宅地等>

    相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいう(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます)。なお、その宅地等が2以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限る。

    ○特定居住用宅地等の要件

    区分

    特例の適用要件

    取得者

    取得者等ごとの要件

    被相続人の居住の用に
    供されていた宅地等

    被相続人の配偶者

    「取得者ごとの要件」は無い。

    被相続人と同居していた親族

    相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人

    被相続人と同居していない親族

    @及びAに該当する場合で、かつ、次のBからDまでの要件を満たす人
    @ 被相続人に配偶者がいないこと A 被相続人に相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族で相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと。 B 相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと。 C その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 D 相続開始の時に日本国内に住所を有していること、又は、日本国籍を有していること。

    被相続人と生計を一にする
    被相続人の親族の居住の用に
    供されていた宅地等

    被相続人の配偶者

    「取得者ごとの要件」はない。

    被相続人と生計を一にしていた親族

    相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人


    <特定同族会社事業用宅地等>

    相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(貸付事業を除く。以下同じ)の用に供されていた宅地等で、次表の要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいう(一定の法人の事業の用に供されている部分で、次表に掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られる)。
    なお、一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合におけるその法人(相続税の申告期限において清算中の法人を除く)をいう。

    ○特定同族会社事業用宅地等

    区分

    特例の適用要件

    一定の法人の事業の用に
    供されていた宅地等

    法人役員要件

    相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除く)をいう)であること。

    保有継続要件

    その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。


    <貸付事業用宅地等>

    相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいう(次表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られる)。

    ○貸付事業用宅地等の要件

    区分

    特例の適用要件

    被相続人の貸付事業の用に
    供されていた宅地等

    事業承継要件

    その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること。

    保有継続要件

    その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

    被相続人と生計を一にしていた
    被相続人の親族の貸付事業の用に
    供されていた宅地等

    事業継続要件

    相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること。

    保有継続要件

    その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

3.欠陥土地、建物の評価減

・欠陥土地については、一般的な評価額よりも評価額を下げることができる。ただ、下げるためには、自ら、それを立証する努力が必要である。 ・細長い土地など、不動産鑑定士による鑑定評価により、路線価よりも低くできる。 ・建物に欠陥がある場合は、固定資産評価額より、低額にできる。

4.還付による税金回復

広大地の評価減、小規模宅地等の評価減、欠陥土地の表加減などを活用しなかったことが後に判明した時は、5年以内なら、還付可能(利息付き)である。

   
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