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【第9章】 戦う中堅企業―敵対的買収と防衛策
1.日本の中堅企業は狙われている

80年代に入り敵対的買収が日本でも登場するようになり、90年代に入り、様々な防衛策も研究され、判例の蓄積も進んだ。ただ、今までの敵対的買収のターゲットは、大企業であった。
しかし、最近は、中堅企業も確実にターゲットになりつつある。ことに、技術ある企業は、中国等周辺諸国にとっては極めて魅力的であり、狙われ始めている。その技術の習得だけでなく、ここで生産される製品を、メイドインジャパンというブランドで、世界に売りまくりたいようだ。事実、私の事務所にも、この様な技術ある企業の買収が可能か、打診が来ている。
中国の企業から、日本の物流拠点を作りたいので中堅の倉庫業者を買収したいというオッファーも来ている。
これらの買収のオッファーは、現段階では平和的な買収であるが、いずれ、敵対的な買収も現れるはずである。中国企業であれば、そのくらいの勢いと意欲は、十分にもっている。
ところで、今までの敵対的買収では、株主権乱用的な買収も目立つ半面、経営陣の保身から、一般株主の権利が十分保護されているか疑問になるケースも多くみられた。
中堅企業も、敵対的買収の脅威にさらされつつある現代、日本の企業活動が健全化、活性化し、世界的な競争社会の中で逞しく発展していくためにも、敵対的買収とその防衛策は、成熟化してほしいものである。

2.取締役会決議による第三者割当増資は難題

敵対的な公開買付けに対する最も一般的な防衛策は、第三者割当増資である。新株ないし新株予約権を第三者割当することで株式の希薄化をはかれるので、買収を仕掛けてくるものの持ち株比率をさげることを狙うもので、極めて直接的な防衛策となるものである。
第三者への有利発行にならない限り、授権株式数の範囲内であれば取締役会の決議で割り当てができる。そのため、これで解決できれば極めて効果的である。
しかし、買収側は、これに対してその発行を「著しく不公正な発行」であるとして、発行差止を裁判所に求めるのが常套手段である(会社法210条、247条)。
この防衛策は、株主総会での決議を避けているので、経営陣の自己保身にすぎないとみられやすく、裁判所が、「著しく不公正な発行」として、差し止めを認める事が多い。
有名な忠実屋・いなげや事件(東京地裁平成元年7月25日決定)では、発行差止を命じているが、その際「主要目的ルール」を提供してくれた。それは、

  1. 会社の支配権に争いがあり、
  2. 従来の株主の持分比率に重大な影響を及ぼすような数の新株が発行され、
  3. 特定の株主の持ち分比率を低下させて現経営陣の支配権を維持することを主要目的とする場合、不公正発行に当たる、

として、このケースの新株発行を無効とした。
つまり、新株発行を適法とするためには、会社事業のための「資金調達の必要性」を主要目的とする必要があるのである。
このルールは、それまでの判例の傾向に沿ったものであるが、このルールはその後の判例に採用されている。ということは、取締役会だけでは、適法な新株発行はほとんど無理ということである。なぜなら、公開買い付けを仕掛けられて、慌てて対抗策として新株発行をする場合、それを資金調達が主要目的と説明するのは詭弁となってしまうからである。
その後、ライブドアvs日本放送事件(東京高決平成17年3月23日)では、やはり差止は認めなかったが、新株予約権の発行を正当化する特段の事情があれば不公正発行に該当しない場合もありうるとした。その特段の事情の例としては、

  1. 高値で株式を買い取らせる(グリーンメイラー)、
  2. 会社財産を自分の会社に委譲させる焦土化経営、
  3. 会社財産を債務の担保や弁済原資に流用、
  4. 高価売り抜け、

を上げている。
ニレコ事件(東京高決平成17年6月15日)では、この基準を平時のライツプランに取り込んで、そのうえで取締役会決議を得て新株予約権を発行しようとした。が、これも裁判所に差止められてしまった。
やはり、取締役会決議だけで第三者割当増資をするスキームの防衛手段は、極めて実現困難なのである。ここには、誰が経営陣にふさわしいかは株主が決めるべきで、現経営陣が一方的に決めて自己保身を図ることは許されるべきではないという考えが根底にあるのだ。
ところで、この第三者割当増資では、基準日以降に株式を取得した一般株主は、買収者側と一緒に株式が希釈化してしまうという本来的な欠点がある。これが、差止請求で会社側が負ける一原因となっている。これに対しては、新株予約権をあらかじめ発効し、それを信託会社やSPCに信託譲渡しておいて、有事に株主に割当てるなどの方法、あるいは、防衛策をあらかじめ広告し、不満な株主に離脱の機会を与えておくなどの方法が考えられている。しかし、これらの準備をしておくことで、取締役会による新株発行が差し止めを避けることが出来るかは、まだ判例はなく未知数である。

3.第三者増資は株主総会の特別決議まですれば万全

ブルドッグソースvsスティールパートナーズ事件は示唆的である。
ブルドッグソースは株主総会の特別決議で次の決議をした。
全ての株主の1株に3個の割合で新株予約権の無償割り当て、その後新株予約権を1円で行使させて1株の普通株を交付するが、買収側は新株予約権を行使できない旨の差別的行使条件を付ける。更に、これらの者の株については、公開買付価格の4分の1で会社が取得する旨の取得条項を付す。
買収側は、これでは株主平等原則に反するとして新株予約権発行差止を請求したが、一審、控訴審、最高裁いずれも、発行を適法とした。
なぜかと言えば、この発行は総会の特別決議で承認されていた。さらに、買収側は買収後自ら経営する意思がないし、事業計画もないなどと自ら表明していた。そのため、裁判所は、この買収に対し、これは企業価値を棄損し、株主の共同利益に反するので、株主の圧倒的多数が反対していると判断したのである。
裁判所は、株主が、現経営陣と買収側とどっちを将来の経営者として選ぶかが最も重要なポイントと考えている。現経営陣が、株主の選択の機会を奪って、自分達の保身だけで、公開買付を阻止しようとすることは、会社法の精神に反すると言っているのである。
ただ、今の日本の現状では、敵対的買収の時、銀行や機関投資家が旧経営陣側に回ることが通常であるが、この場合、高値で株式を処分したいという株主の権利を不当に害することになるという弊害も発生しているということも忘れるべきではないであろう。

4.株式分割は使えない

公開買付の場合、一度提示した買付価格を下方修正できなかった時期があった。この場合、買付期間中に基準日を設定した株式分割をおこなうとどうなるだろうか。例えば5対1の分割では、買収側は5倍の価格で株を購入しなければならず、また目標株式数を達成しても株式は5分の1に希釈化してしまうことになる。その結果、買収者側は支配権を獲得できないだけでなく、大損をすることとなる。
また、会社法上会社分割を差止める規定はない。そこで、夢真ホールディングスvs日本技術開発事件(東京地裁平成17年7月29日)では、株式分割に新株発行差し止めの規定(現在の会社法210条)の類推適用があるかどうかが争点となった。が、裁判所はこれを否定した。その結果、株式分割を差止める手段がないことになった。
そこで、会社分割は、防衛手段として極めて効果的だと思われたが、その後、金融商品取引法が改正されて(2006年12月)、買い付け価格の下方修正が認められ、残念ながら株式分割は、今では防衛手段としては殆ど意味が無くなっている。

5.他者依存の防衛策

敵対的な公開買い付けをしかけられた時、友好会社に、競合した公開買い付けを仕掛けてもらうという防衛策がある。
素朴ではあるが、協力者があれば効果的な防衛野成果を挙げることができる効果的な手段だ。

6.全部取得条項付き株式の活用

全部取得条項付き株式は、検討の余地がある。
まず、二つ以上の種類株式を発行し、既存株式を全部取得条項付種類株式にする。そのためには、定款変更決議を株主総会の特別決議でおこなう必要があるが、この特別決議は、一回の株主総会で同時にできる。これにより、株式をすべて全部取得条項付き株式に換えることが出来る。
つぎに、全部取得条項付種類株式を会社が取得する特別決議を株主総会でする必要があるが、この場合、買収側の株式のみを取得してその株式を取り上げてしまえば、買収側を追いだすことが出来るはずである。
極めて偏頗な方法であるが、総会の特別決議に基づいて実行する以上、前述のブルドッグソースvsスティールパートナーズ事件の論理でいく限り、有効なはずである。

7.会社分割はどうか

買収者の狙いが対象会社の技術やビジネスモデルという場合は、会社分割をして、承継会社、設立会社にその技術やビジネスモデルを移転し、かつ、分割の対価を株式以外のもので支払えば、分割会社には、ターゲットの技術やビジネスモデルが存在しなくなるので、買収の目的を失わせることがでるはずである。

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