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【第3章】 企業再生を成功させるためのM&A

事業に行き詰まれば破産しかないと勝手に思い込んでいるものは多い。しかし、その前にいくらでも打つ手はあるのである。その切り札は、M&Aである。
M&Aは、行き詰まった中小企業を蘇らせられる効果的で強力な手段である。

1.経営が行き詰まったらM&A

中堅、中小企業では、営業利益は結構出ているのに有利子負債が大きく、それが年間売上額と同じぐらいという例もまれではない。不況によるマーケットの縮小によって売り上げが急減し、あっという間に有利子負債が年間売上額と同じぐらいになってしまうのである。
業種によって異なるが、有利子負債が年間売り上げの20%を超えると経営は不健全となり、放置すると破綻に向かうことになる。そこで、企業は年間売り上げが20%を超えたあたりから真剣に立て直し策を講じることになる。
そのためには、売り上げを向上させながらリストラで経費を節約することが常套手段であるが、同時に視野に入れてほしいのがM&Aである。
企業が停滞していても、M&Aで切り抜けられるケースは多い。例えば、年間売りあげに対して、有利子負債が40%に達して銀行借り入れができない企業でも、M&Aにより、20%分を埋める資本投下を得れば、健全な財務体質を回復できるのである。この段階でのM&Aは、会社を全て売り払う必要はない。出資を前提での業務提携というM&Aで、経営のテコ入れは可能なのである。
有利子負債が60%でも、強力なスポンサーが出現すれば再建は可能であろう。M&Aは、企業の再建のため、最初に考えるべき強力な手段なのである。
とはいえ、年間売り上げに対して有利子負債が100%に達している時には、M&Aだけでは解決困難となるのが普通だ。その場合は、負債カットの手段を講じながら、M&Aを実行することが必要になる。
債権の圧縮となると民事再生手続きが思い浮かぶであろうが、この手続きは全債権者を手続内に巻き込むという欠点がある。本書では、まずは、取引先を巻き込まない企業再生方法から検討することにする。

<実例>
A社は、国内向けの磁器製品を作るメーカーである。近年、ライフスタイルの多様化の中で売り上げが減少傾向にあったが、リーマンショック以降の不況の中で、急激に売り上げが落ち込み、銀行借り入れの返済が困難になり、倒産も覚悟せざるを得ない状況となった。この時の有利子負債は、年間売り上げの50%に達していた。
その時、ヨーロッパに食材を輸出する中堅商社がA社のデザインがヨーロッパに受けそうなセンスがあることに目を付け、自己の販売ルートを使って、ヨーロッパに輸出することを提案してきた。
商談を進めるうち、B社はA社の窮状を知り、製品の購入だけでなく、出資を申し出てきた。まさに、M&Aの提案である。
その結果、B社は、増資により49%の株式を持つとともに役員を派遣する条件に出資することとなった。その後、A社は売り上げを急増し、ヨーロッパ向け製品を製造する新工場を建設できるまでに復活できた。
これは、日本のものづくりの技術を持つ企業と、ヨーロッパに販路を持つ企業がM&Aにより業務提携し、企業の倒産回避と、新たな輸出事業の開拓に成功した好例である。

2.不動産価格で担保付債権を買い取ってM&A

負債の多い企業を再建する場合、抵当権付きの銀行債権をスポンサーが買取るという方法がある。この買取がM&Aの重要な要素となるのである。
例えば、10億の銀行の貸付債権があり、不動産に抵当権が設定されているとする。ところが、この担保不動産の価値は低下し、現在では時価が一億という例も多い。年間売り上げも10億円しかない企業であれば、債務者は利息しか払えず、不良債権化しているのが普通である。
この時、スポンサーがこの債権を担保付のまま1億で買い取るというスキームがありうる。普通は銀行が一旦サービサーに売却し、これをスポンサーが買取るという方法をとる。
銀行としては、この不良債権は競売でしか回収できないが、競売では1億円の回収も困難なので、1億円で買い取ってくれるとなれば、応じてもよいということになるのである。
この手法はゴルフ場の買収などでよく使われるが、他の業種でも使われる例が見られるようになった。
ただ、債権者が公的金融機関、債権整理回収機構である時は、このスキームに協力してこないのが現状なので注意を要する。

<実例>
ある温泉街の老舗旅館は、地元信用金庫からの借り入れが三億円あるにもかかわらず、不況の中で売り上げが急減して苦しい経営を強いられるようになり、売却を考えるようになった。
旅館の土地建物にこの三億円の借り入れのため抵当権が設定されていたので、3億円の売買価格を設定して売りに出したが、高すぎて買い手が付かなかった。そのため、A社長は、民事再生法の申請が必要と覚悟してK法律事務所に相談した。
K弁護士は、民事再生の代わりに、ホテルチェーンを経営している会社に、信金の貸付債権を担保付きで1億円の代金で買い取ってもらうというM&Aにより、この件を解決させた。
土地と建物の価値は不動産鑑定価値で8000万円程度であり、競売や民事再生手続きでも1億円を確保することは困難であった。信金としても、1億円の現金が入るのであれば、3億円の債権を1億円で売却することも良しと判断したのであった。
この時、社長の個人保証も一緒に買い取りをしていたこともつけ加えておきたい。社長の個人資産は自宅くらいしかなかったが、地方のため700万円位の価値しかなかった。そのため、信金としては、それまでの長い付き合いを考慮して、保証債務も合わせて1億円で売却することに同意したのであった。

3.特定調停で債権カットし、そしてM&A

簡易裁判所に、特別調停を申し立てて債務の免除を求めるというのも効果的である。
特定調停は、社会的には倒産扱いとならないが、これにより債権の大幅なカットを可能とするものであり、民事再生法と同様、会社再生のために効果的な手段である。
違いは、民事再生法は全債権者を対象にするのに対し、特定調停は特定の債権者のみを対象にするという点であり、その対象の多くは金融機関である。そのため、取引先を巻き込まずに銀行とだけ交渉が出来る。
また、民事再生は、スケジュールが裁判所によってガチガチに決められるのであるが、特定調停はそのような規制はなく、柔軟に作戦が立てられる。
さらに、この特定調停と並行してM&Aを進行させると、極めて効果的に再建を図ることが可能となる。
ただ、相手が公的金融機関や債権整理回収機構の時は減額が困難なことが多く、失敗に終わることが多い。

<実例>
A社長は、建築資材の卸のA社を長く経営してきたが、流通の合理化から、卸業のマーケットは大幅に縮小し、最盛期は30億あった売り上げが今や5億程度となってしまった。ところが、有利子負債は8億あり、破産で最終処理するしかないと覚悟をするにいたった。
そこでK法律事務所に相談したところ、K弁護士は、破産は必要ない判断し、配送センターとして使っていた土地建物が2億円の価値があることに注目して、事業を5,000万円、不動産を2億円で売却するスキームを作って、買い手を探すこととした。
B社は同業のトップ企業であり、マーケットの縮小の中で、M&Aを駆使して顧客を集約しながら、配送をメーカーから建築業者に直結する新たなビジネスモデルを構築して、活き残りをかけている企業である。このB社が、K弁護士の提案を受け、A社の顧客に中堅ゼネコンが多くいることに注目し、同社の事業を買収することを申し出てきた。また、不動産はC社が2億円で買い取ることを申し出てきた。
これらの申し出を確認したうえ、K弁護士は、A社とA社長個人について金融機関に対して特定調停の申し立てをした。そして、B社とC社から得る売買代金を借入の弁済にあてることと引き換えで、金融機関に対する会社と社長の借入残債務の債務免除を受ける同意を取り付け、特定調停を成立させることに成功した。
M&Aと特定調停を駆使することにより、破産を回避しつつ、個人保証を含めて全体解決が実現したのであった。

4.会社分割とM&Aで会社再生

会社分割をする時、新設分割を採用し、主たる業務は新設承継会社に承継させるが、金融機関の債務を分割会社に残し、取引債務だけを新設承継会社に承継させるというスキームがよくみられる。
この場合、対価が新設承継会社の株式の時には、新設承継会社が分割会社の100%子会社となるので、責任財産が営業財産から株式に変わるだけで、責任財産に変化が無いように見うる。これであれば、詐害性は排除できそうであるが、中小企業の場合は、株式に譲渡制限が付くのが普通なので、そうなると、価格が大幅に低減することになる。
そのため、分割会社に債務を残された金融機関は、このスキームを詐害行為として取消訴訟を提起する例が頻発している。また、分割会社が後に破産開始決定を受けると、破産管財人から否認権行使をされるという例も続出している。
最高裁判決はまだないが、下級審では、詐害行為による取消し、あるいは否認が殆どのケースで認められている。この場合、主たる債権者である金融機関の責任財産が大幅減少することは明らかなので、詐害行為となるのはやむを得ないであろう。そのため、銀行と敵対した会社分割は、会社の再建の手段としては使えないということとなろう。

<分割で、有効な再建スキーム>
会社分割をする時、主たる業務は新設承継会社に承継させるが、金融機関の債務を分割会社に残し、取引債務だけを新設承継会社に承継させるという方法は、そのままでは、詐害行為となってしまう。
しかしスポンサーが、分割会社が有する新設承継会社の株式を、銀行の了承する金額で買い取り、買い取り代金を分割会社が破産した時の配当財源となるようなスキームを作れば、詐害性は回避できる。このように、会社分割でも、M&Aを組み込むことにより、企業の効果的な債権に活用できるのである。

5.経営陣が残るタイプのM&A

経営テコ入れがたのM&Aでは、多く利用される。会社経営は行きずまったものの、経営陣は退陣したくないという例は多い。
資金は出すが、経営には興味がなく、収益が得られれば良いというスポンサーが出現すれば成功である。
この場合は、スキーム作りが重要である。議決権無き優先株により、経営は任せるが、利益は、優先して取得する方法は良く使われる。
あるいは、貸付として出資するが、同時に、新株予約権を得ておくという方法、株式に転換できる新株予約権社債を取得するという方法もある。
返済を受ける形を取るが、

<実例>
A社は、地方で数店のガソリンスタンドを経営している。経営に行きづまったので、民事再生の申し立てをした。
同時に、地元商工会議所を通じて出資者を募り、スタンドの不動産を共有者として購入してもらい、A社はテナントとなるとともに、買取代金を借入の返済に充て残債務を免除してもらう再生計画を作成し、再建に成功できた。

6.破産を使ったM&Aは外科手術−効果は抜群

会社の事業をスポンサーに譲渡して、残った部分を破産で清算するというM&Aはよくみられる。事業の代金は配当に原資となるが、譲渡された事業には、債務の負担がなくなる。
会社分割をして、残部を同じく破産で清算するというM&Aの例もみられる。
この様に、社会的に意味のある事業は債務の負担なく残し、破綻部分を清算するというのは、まさに外科手術で会社を再建するというべきものであり、破綻の程度が大きくても再建を可能とする強力な手段である。
破産という処理に抵抗があれば、民事再生の申し立てを行い、再生計画の中で、清算と事業譲渡を再生計画としてまとめて処理をすることも可能である。この手段は、実務的には広く使われている。
なお、債権者全員が債務の免除してくれることで話がついていれば、破産に替えて特別清算という清算方式もある。これでも、破産という処理を避けることが出来る。

7.民事再生と会社更生の申立は最後の切り札

以上の手段を講じる時期を逸してしまった場合には、民事再生法の活用を考えざるを得ない。
民事再生法は、経営者が裁判所の監督下で、自ら再建にあたるのが原則である。このような再建手段をDIP型と呼ぶ(DIPはDebtor in Possession。債務者占有の意味)。民事再生では管財人が選任されることもあるが例外である。また、開始決定から再生計画の認可まで、半年程度で終えるというように仕組まれているので解決は早い。
しかし民事再生手続きでは、申立が受理されると同時に裁判所は仮処分で弁済禁止命令を出す。この弁済禁止により取引先も支払いを受けられないことになり、全債権者を巻き込むという欠点がある。また、民事再生には倒産というイメージがあり、経営者には毛嫌いされる。従って、他の手段がない時の最後の切り札となろう。
再生計画の中では債権を大幅にカットする。その際、例えば90%カットして、残りを10年分割弁済という例もある。まさに、強引な債権圧縮の手段である。もっとも、この計画が裁判所に認可してもらうには、債権者集会で承認してもらう必要がある(債権額と頭数の過半数の承認が必要)ので、90%という案は、そのままでは銀行等の大口債権者の納得を得られない。そのため、スポンサーを確保し、スポンサーが資金をだして増資し、あるいは、資産を買い取るなどして資金投下して、債権者の納得を得られる再生計画を作成することとなる。スポンサーの力で、一部を一括返済し、残額を債務免除してもらうというケースも多い。
スポンサーが介入して再建にあたるということは、それ自体がM&Aである。民事再生の再生計画の立案は、スポンサーと債務者と債権者の間で形成される壮大なM&Aのスキーム作りといえるものである。これを推進するオーガナイザーの力量は重要であり、そのため、申し立て代理人は経験を積んだ弁護士が担当することとなる。
民事再生の処理と並行して重要なのは、社長の個人保証である。個人保証は会社の民事再生とは直接関係なく、会社債権が支払い免除を受けても何の影響も受けないからである。個人保証の処理をどうするかは、弁護士が考えるべき重要課題である。
ところで、日本では、企業の法的再建の手段として、民事再生法のほかに会社更生法がある。会社更生法は、弁護士である更生管財人が再建にあたり、また担保権も更生計画の内容となるなど、もともと大企業用に仕組まれている法的再建のシステムである。
しかし、2009年にDIP型会社更生が導入された。これは、弁護士の代わりに、従来の経営者、あるいは交代した新経営者が管財人に選任され、申立代理人の弁護士とともに、再建に当たる方法である。また、弁護士である監督委員兼調査委員が選任され、裁判所はこれを通じて監督に当たることになる。
この方法を取ると、100%減資でなければ、上場維持も可能とされている。JALがこの方法で再建を目指したが、中堅企業でも、このDIP方式であれば、会社更生も活用の余地があろう。勿論、債権者やスポンサーがこの方式を支持することが前提である。
民事再生は、再生計画認可まで5カ月であるが、DIP型会社更生では7カ月なので、中堅企業の場合この2ヶ月の余裕は貴重である。また、前述の通り、担保権も手続き中に巻き込むので、銀行との交渉が効率的な場合も多い。今後は、中堅企業でも、民事再生と合わせて会社更生の活用を検討しもいいであろう。

<参考:チャプターイレブン>
チャプターイレブンという言葉は、どこかで聞いたことがあるであろう。これは、民事再生法の母法であるアメリカの連邦倒産法第11章のことである。
日本では、民事再生というと倒産という暗いイメージがあるが、アメリカでは、チャプターイレブンといえば強力なリストラの一チョイスという役割を果たす。
アメリカでは、航空会社を見ても、デルタもユナイテッドも、チャプターイレブンで再建している。最近では、アメリカンもこの申請をした。アメリカでは、人員整理に従業員が応じない時に、チャプターイレブンを活用するという例も多いようだ。
再建計画も、カットなしで3年分割返済などという例もあり、大企業では3割カットはカット率が多いほうである。5割カットでは、破産で清算せよということになってしまうようだ。
9割カットで10年間分割返済という例があるような日本の民事再生とは大きな違いがある。JALがアメリカの企業だったとしたのなら、10年以上前にチャプターイレブンの申請をしたであろうし、あのように破綻状態になってから申請したのなら、再建など許されず、清算せよということになったであろう。
財務が破綻したままずずると時間をかけることは、それ自体、社会に大きな迷惑を与えると考えるのがアメリカである。チャプタ−イレブンは、このように活発に活用されている。
日本でも、財務状況が悪くなれば、早めに対策をたてることが必要であるし、それが経営者の社会的な責任でもある。しかし、民事再生法は、アメリカと違い倒産のイメージがあり使いにくい。その代わり、早めの再建の手段として考えるべきなのが、本書で強調するM&Aである。

8.社長個人の老後はM&Aで

会社が民事再生や破産で処理されても、社長の個人保証には全く影響を与えない。民事再生で会社は90%の免除を得ても、個人保証は従来どおり100%の責任を負わなければならないのである。
そのため、社長個人は、会社の民事再生と別に個人破産の申し立てをして免責を得て、借金の負担を免れるという方法を取るのが普通である。
ただ、旧経営者にとっては、破産というのは心理的に大きな抵抗感がある。これが、会社に対し法的手続きを取れない最大要因となっている。
この問題は、特定調停でも、担保債権の買い取りでも同様である。会社分割、事業譲渡でもこの問題は残る。

<社長の老後確保のスキーム>
M&Aのスキーム作りをするにあたり、同時に、社長の処遇を考えなければならないことが多い。企業の再建にあたり、企業の再建自体より難しいのが社長個人の保証の処理である。
弁護士がM&Aに関与する意義があるのは、この個人保証の処理で腕をふるう必要があるからといってもよい。民事再生や破産の申し立て代理人の力量で、社長の老後は、全く変わると言ってよい。この時に、法的手続きしか興味のない弁護士に依頼すると悲劇である。
スポンサーに担保付債権を買取ってもらうM&Aのケースでは、まずは、個人保証を含めて買い取ることを承諾してくれるよう金融機関と交渉することとなる。金融機関から見て個人からの回収が困難となれば、個人保証を含めて買い取ることに同意してくれることも多い。
社長個人にも特定調停を申し立てて、余剰不動産を処分することで話をつけ、自宅を残すことが出来た例も多い。
どうしても、社長個人の自己破産が必要な時には、社長の個人的な生活支援が重要である。自宅を子供や親せきに管財人から自宅を買い取らせ、社長個人がそこを借りて住むことにより、自宅を失わなくて済むようなことも考えるべきである。
自己破産の場合、破産の開始決定後、承継会社やスポンサーが社長を顧問で雇用するという方法も効果的である。開始決定後の定期収入は破産財団に組み込まれず、自由財産として自由に使えるからである。なお、退職慰労金だと、開始決定前の労働の対価なので財団に組み込まれてしまい、社長個人のために使えないので注意を要する。

9.事業再生ADR、中小企業再生支援協議会を活用するには?

時々、事業再生ADRや中小企業再生支援協議会を使えないかとの相談が来ることがある。裁判所の手を借りなくても再建出来るので、自分の会社も、これを活用出来ないかと期待してやってくるようである。しかし、結果的には、残念ながら使えないことがほとんどである。
事業再生ADR(ADRはAlternative Dispute resolution. 裁判外紛争解決手続き)という言葉を聞いたことがあるであろう。これは、産業活力再生特別措置法の認定を受けたADRで、現在、事業再生実務家協会がこれに当たる。
会社更生、民事再生法の適用を受けずに、金融機関からの有利子負債のみを権利調整する方法で再生を図るものである。つまり、取引先は巻き込まないということに特徴がある。
ただ、最近では日本で唯一のDRAMのメーカーであるであるエルピーダメモリが認定されているが、この例からも判る通り、大企業向きの制度であり、中堅、中小企業は対象外である。もっとも、結局エルピーダ救済は失敗し、会社更生法に移行した。
中小企業のためには、各都道府県に中小企業再生支援協議会が設置され、2008年には、それを統合する中小企業再生支援全国本部が設立された。
協議会は、相談案件のなかで適切と思われるもののについて、メインバンクと相談しながら、再生計画を作成し、支援スキームを練る。これも、金融機関からの有利子負債のみを権利調整する方法で再生を図るものであり、取引先を巻き込まないことに特徴がある。
興味が持てるのは第二会社方式である。債務免除することの見返りとして過剰債務部分を劣後借り入れに切り替え、債務超過部分を3年から5年程度の利益で解消できるような資本的借入金(DDS。Debt Debt Swap)を導入する。この借り入れは、例えば15年期限の一括返済で0,4%の金利とするものであり、資本的注入に近い方式である。第二会社方式だと、新会社は営業に必要な許認可を新たにとらなければならないが、これをスムーズにとれるよう工夫もなされている。
このように綿密なスキームが用意されているが、現在のところ、実際は利用例が少ない。想定されるスキームに適合する、“優良”破綻企業が少ないからであろう。銀行が、その利用に、積極的でないと使えないというのが実態だからである。
ただ、せっかく中小企業再生支援協議会が設置されているので、もっと、多くの企業が使えるようなスキーム作りをしてほしいと思っている。ことに、スキームの中にM&Aを組み込んで、もっとダイナミックに再建計画を構築できるようにし、中小企業の再建に役立ってほしいものである。

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